「横浜市栄区」は不動産投資に適した地域か?
今回は「横浜市栄区」で行なう不動産投資について分析していきたいと思います。
調査内容は下記のとおりです。
- 地域情報(空き家・治安・子育て)
- 人口(人口推移・将来人口)
- 不動産価格の動向(地価・平均家賃)
- 賃貸需要・資産価値
- 交通情報(路線・高速)
- その他
横浜市栄区を投資先として選定する上で参考になる情報が御座いましたらご活用下さい。
では栄区の地域情報から見ていきましょう。
横浜市栄区の概要、特性
ではまずはじめに、不動産投資におけるもっとも大きなリスクのひとつである空室リスクに関連する空き家率から見ていきましょう。
空き家率の推移
横浜市栄区の平成25年の空き家率は6.5%、横浜市平均:10.1%、神奈川県の平均:11.2%よりもかなり低い数値となりました。(平成25住宅土地統計調査より)
また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。※平成25年までの5年毎
平成10年:6.9%(3000戸)
平成15年:7.5%(3580戸)
平成20年:10.3%(5600戸)
平成25年:6.5%(3320戸)
平成20年に10%台まで上昇しましたが、横浜市栄区の空き家率は横浜市平均よりもかなり低い数値で推移してきました。
さらに横浜市では、積極的な空き家対策に取り組みはじめているため、今後の動向にも期待できるでしょう。
なお、横浜市では空き家の維持管理・相談のみならず、空家の流通・活用にも着手しています。
刑法犯認知件数の推移
不動産投資の物件選定で気をつけたいことのひとつに、投資エリアの治安や住環境があげられます。
当然治安が良く、住環境が良い地域であれば、安定した賃貸需要を望むことが可能です。
しかしこれらが悪い地域であれば、賃貸需要のみならず資産価値にもマイナスの影響を与えかねません。
では横浜市栄区の治安や住環境はどのようになっているのでしょうか?
治安の目安のひとつとなる犯罪件数(刑法犯認知件数)と平成27年度栄区民意識調査から、治安と住環境について考察してみましょう。
まずは犯罪件数。
栄署の犯罪件数の推移となります。
平成12年:1698件
平成17年:1370件
平成22年:774件
平成25年:608件
平成26年:531件
平成27年:514件
栄区の刑法犯認知件は年々減少傾向にあります。
平成12年と平成27年を比較すると、マイナス1184件(70%)減少してます。
防犯対策への満足は、「満足:52.0%、不満:17.3%」と満足の回答が3倍ほど不満を上回っています。
では定住意向についてはどうでしょうか?
横浜市平均(平成27年調査)は「定住派:61.0%、移住派:19.9%」ですが、栄区は「住み続けたい:77.3%、住み続けたくない:20.3%」となっています。
なお定住したい理由は、1位が「交通の便が良い:59.2%」、2位が「買い物が便利:57.9%」となります。
待機児童数の推移
栄区でファミリー向けの不動産投資を行う場合に気になるのが、子育て環境です。
共働き家庭が増加傾向にあるため、子供がいる世帯の入居者は住居選びと合わせて子供を預ける環境が整備されているかも調査しています。
そこで栄区は子供を安心して預けられる環境が整っているのかを、子育て支援と待機児童対策から考察していきましょう。
まずは栄区の待機児童への取り組みからみていきましょう。
過去の待機児童数は下記になります。
平成23年度:13人
平成24年度:6人
平成25年度:0人
平成26年度:0人
平成27年度:0人
平成28年度:0人
横浜市の待機児童対策は全国的にも有名ですが、西区も例外ではなく、しっかりと対策されています。
実際に平成25年度には待機児童ゼロを達成し、以降平成28年に至るまで待機児童ゼロが続いています。
待機児童の成果から、栄区は子供を預けられる環境が整った地域と言えます。
また子育て環境への意識調査では、「満足:49.2%、不満:15.7%」と満足の回答が多くなっています。
横浜市栄区の不動産価格
不動産投資の出口戦略にも関わってくる不動産の価格動向について見ていきましょう。
まず栄区の地価は、神奈川県内31位、全国157位となっています。
最高坪単価は1988年の138.9万円でしたが、2016年は42%程度の58.5万円で推移しています。
現在までの地価動向
では最近の地価の変動を見てみましょう。
栄区の地価は1991年以降下降が続きましたが、2007年(1.79%)、2008年(4.95%)の2年間は上昇となりました。
しかし2009年(-3.13%)、2010年(-2.84%)、2011年(-0.84%)、2012年(-0.92%)、2013年(-0.01%)の5年間は下降となりました。
またここ最近の動向を見ると、2014年(0.78%)、2015年(0.84%)は上昇、2016年(-2.50%)は下降となっています。
賃料相場
では横浜市の家賃相場はどうなっているでしょうか?部屋のサイズ別に見ていきましょう。
ホームズ家賃相場情報によると、下記ととなります。
1R~1DK:17位
1LDK~2DK:15位
2LDK~3DK:9位
3LDK~4DK:8位
地価の31位と比較すると、すべての間取りで上位ランクとなります。
特にファミリー向けの間取りはトップ10に入るほどの上位にランクしています。
横浜市栄区の交通・アクセス
では横浜市栄区の電車状況はどうなっているでしょうか?
栄区内の駅はひとつで、JRのみ利用が可能です。
JR根岸線:本郷台駅
複数路線が利用できる駅はありません。
横浜市栄区の人口推移
少子高齢化、人口減少、空室問題など・・・不動産投資における大きなリスクと考えれます。
そしてこれらのリスクはすべて「人口」に起因する問題と言えるでしょう。
それでは横浜市栄区の人口動向を見ていきましょう。
現在までの人口状況
最近3年間の人口は、2015年:122286人、2016年:122227人、2017年:121385人となっています。
また1990年から2010年までの5年毎の人口推移は下記となります。世帯人員数の推移とあわせてご確認下さい。
人口推移
1990年:123585人
1995年:124501人
2000年:118827人
2005年:123693人
2010年:124899人
1世帯あたりの人員
1990年:3.11人
1995年:2.89人
2000年:2.72人
2005年:2.54人
2010年:2.47人
2017年:2.38人
1987年に新設された横浜市栄区は、2011年をピークに人口は減少に転じています。2017年現在も緩やかな減少となっています。
2017年と1990年の人口を比較する約2.2千人(2%)の減少したことがわかります。
また1世帯あたりの人員は年々減少を続けています。
今後人口推計
では今後の人口推移はどうでしょうか。
下記は国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)による2020年~2040年までの横浜市栄区の人口将来推計と年齢3区分別人口(割合)となります。
社人研による将来人口推計※2020年~40年の5年毎
2020年:124118人
2025年:121035人
2030年:116719人
2035年:111725人
2040年:106677人
年齢3区分別人口※2020年~40年の5年毎
年少人口:11.7%→10.7%→9.9%→9.6%→9.7%
生産年齢人口:56.5%→56.8%→56.6%→54.4%→50.8%
老齢人口:31.8%→32.5%→33.5%→36.0%→39.6%
減少傾向にある横浜市栄区の人口は、今後も現在同様の動向となる見込みです。
2020年と2040年の人口を比較すると1.7万人(14%)程度の減少が見込まれます。
また年齢3区分別人口を見ると、年少人口と年少人口は減少、老齢人口は増加となり、少子高齢化の傾向が見て取れます。
次に横浜市栄区による将来人口を見ていきましょう。
横浜市栄区の将来人口※2035年までの5年毎
2020年:121,170人
2025年:117,697人
2030年:112,784人
2035年:106,151人
年齢3区分別人口※2010年から2035年までの5年毎
年少人口:13.3%→12.9%→11.9%→11.0%→10.4%→10.3%
生産年齢人口:62.4%→58.4%→57.4%→57.5%→57.1%→55.1%
老齢人口:24.3%→28.8%→30.7%→31.5%→32.6%→34.6%
横浜市栄区の将来人口も社人研同様に、減少傾向が続く予測となっています。
また数値的にも社人研に近い動向となっています。
これらのデータを元に横浜市が不動産投資エリアとしては適しているか考察していきましょう。
不動産投資と人口問題
各データをまとめると下記になります。
社人研のデータ:減少傾向が続く。
横浜市のデータ:減少傾向が続く。。社人研よりも人口は少ない推移。
どちらのデータからも、今後も減少傾向となっています。
さらに減少率は10%以上となるため、不動産投資を考えた場合、賃貸需要に影響を当たることが考えられます。
ただし今後は横浜市による人口対策が期待されますので、今後の動向は着目する必要があるでしょう。
不動産投資と交通
では横浜市栄区の交通に関してはどうでしょうか?
栄区はJRのみ利用が可能ですが、横浜駅までのアクセスは良いと言えるでしょう。
本郷台駅から横浜駅まで25分程と通勤や通学に便利な地域となります。
不動産投資と不動産価格
では不動産価格をみていきましょう。
栄区の神奈川県内でのランキングは地価は31位、平均賃料は8位(~17位)となります。
間取りによるバラツキはみられますが、すべての間取りが地価よりも高いランクとなります。
ここ最近の地価の動向は、上げ下げを繰り替えていいますが、大きな変動はみられません。
また本郷台駅周辺では、90万円以上の取引が確認できています。
横浜市栄区の不動産投資
以上、横浜市栄区の特性、人口、交通、地価について調査してきました。
これらの情報を要約すると横浜市は・・・
- 栄区の人口は、減少傾向が続く。
- 少子高齢化、核家族化により、二人以下の高齢者世帯の増加が見込まれる。
- 本郷台駅周辺は地価は高いが、唯一鉄道が利用できる地域。
- 栄区の地価は安定した動向。
- 空き家率は平均以下。横浜市による積極的に空き家対策に期待。
- JRの利用で横浜駅へのアクセスはに良い。
- 待機児童数ゼロを継続中。
- 犯罪発生件数は減少傾向。住民の定住意向は平均以上の77.3%と高い。
となります。
着目するポイントや重要視するポイントは人によって異なりますが、横浜市は不動産投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?
※横浜市、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データ、平成25年住宅・土地統計調査を参考に記事を作成しています。